ITエンジニアの退職に関する調査リリースを配信させて頂きました。エンジニアの退職理由ランキング。「サイレント退職」を防ぎ、エンジニアの定着のためにすることとは?弊社で転職相談を頂いているエンジニアの方にも、アンケート回答のご協力を頂きました。ご回答ありがとうございます。■ サマリー調査結果1:「会社を辞めたい」と思った要因の上位は「給与」「ワークライフバランス」「評価・昇進」調査結果2:退職の判断をする前に、同僚や上司に相談する人は3割に留まる。各種「退職のシグナル」を出す人も半数以下と「サイレント退職」が主流。調査結果3:退職交渉時に慰留された人のうち、2割の人は給与やポジションの改善提案を受けて留まったことがある■ 調査結果1の詳細:「会社を辞めたい」と思った要因の上位は「給与」「ワークライフバランス」「評価・昇進」「Q. 辞めたいと思ったとき、会社に何を改善して欲しいと思いましたか?当てはまるものを全て選択してください。」に対する回答結果の上位5項目。回答者は94名。「会社を辞めたいと思ったとき、改善してほしいと感じたこと」をきく質問では、「給与」「ワークライフバランス」「評価・昇進」等、待遇面に関する不満が多く挙げられました。コメントでは、「給与が上がらない環境でモチベーションがなくなった」「多くの稼働時間が求められることでプライベートやスキルアップの機会を失った」といった声が聞かれました。<「給与」を選択した人のコメント>2年続けてもまったく給料があがらなかったので、モチベーションが壊滅したため(30代・男性)友人(他業種)の話を聞いて、自分よりも良い勤務環境にも関わらず給料が高いと聞いたから。(30代・男性)<「ワークライフバランス」を選択した人のコメント>稼働時間が長かったり、妊婦が夜勤をしたり、子育て中で早く帰らなければならない人にも配慮がなかったりしたことです。長い稼働時間に耐えた人ばかりが残っていて、体力のない人に対する視線が冷たかったです。(30代・女性)プロジェクトが炎上している中に配属されたり、そもそも業務がうまく回せていないチームに配属されたりで苦労することが多かったし、その時に消費した残業時間でもっと次につながるような別のことができたと思うため。(30代・男性)<「評価・昇進の明確化、制度化」を選択した人のコメント>社内SE専門の部署がなく、部署の中にチームとして存在しているだけなので、専門性が必要ない仕事の人たちと同じ給与テーブルなのがかなりモヤモヤします。(20代・女性)いくら努力しても、成果を出したとしても、我が社は完全なる年功序列制のため、全く評価されない。(30代・男性)■ 調査結果2の詳細:退職の判断をする前に同僚や上司に相談する人は3割に留まる。各種「退職のシグナル」を出す人も半数以下「Q. 退職の判断をする前に、同僚や上司に相談をしましたか?」に対する回答結果。回答者は退職経験のある73名。退職前の相談についてきく質問では、67.1%の人が「いいえ(相談しなかった)」と回答しました。コメントでは、「自分で決めたことであり、相談の必要性がなかった」「引き止め材料を与えないようにした」「辞めたいという話が周りに広がって悪い影響を及ぼすのを防ぎたかった」といった声がきかれました。一方で相談した人のコメントでは、「同僚の意見をききたかった」「社内の別ポジションがあるか知りたかった」といった意見が挙げられました。<「いいえ(相談しなかった)」と回答した人のコメント>退職したい理由が明確で相談の必要性がなかったため(30代・男性)基本的に引き止めがされますが、結局のところ給料が大きく向上するわけではありません。相談したことで、逆に引き止め材料を与えることにもなるため、相談はしませんでした。(40代・男性)同じ会社にいる人へ相談すると辞めたいという話が広がるし、同僚や上司などチームメンバーの仕事のモチベーションへ影響がでるから(40代・女性)<「はい(相談した)」と回答した人のコメント>同僚に相談した。信頼していたので、どういう意見を持っているか知りたかったから(40代・男性)周りから固めたかったのと、本当にやめてもいいか、あとは自分の立ち位置を知りたかったので、色々な意図を込めて相談しました。(30代・女性)社内において他のポジションがあるか確認したかったため。(30代・女性)「Q. 退職を決めた後、周囲にそのシグナルを出しましたか?当てはまるものを全て選択してください。」に対する回答結果の上位5項目。回答者は退職経験のある73名。退職を決めた後のシグナルについて聞く質問では、半数以上が「特にシグナルは出さなかった」と回答しました。一方で、自己学習の時間を増やした人や不平や不満を口にした人など、辞める前のシグナルを出す人も一定数いることがうかがえました。■ 調査結果3の詳細:退職交渉時に慰留された人のうち、2割の人は給与やポジションの改善提案を受けて留まったことがある「Q. 慰留をされて、実際にその時の会社に留まったことがありますか?」に対する回答結果。回答者は、退職交渉経験のある65名。退職時の慰留の経験をきく質問では、7割の人が経験があると回答しました。「Q. 慰留をされて、実際にその時の会社に留まったことがありますか?」に対する回答結果。回答者は、遺留された経験がある45名。慰留された人のうち、実際に留まったことがある人は2割という結果になりました。留まったことがない人のコメントでは、「慰留を受け入れても会社は変わらないと思った」「改善を提案されなかった」といった、会社が変化しないことを悟ったという声がきかれました。一方で留まったことがある人のコメントでは、「給料やポジションの改善を提案された」といった理由が挙げられ、不満を受け入れ改善提案を行った会社に対して信頼を寄せたことがうかがえました。<「留まったことがない」と回答した人のコメント>自身の退職理由に対する回答や対応を特に示してくれなかったので、おそらく慰留を受け入れても変わることはないだろうと容易に想像できたから。(30代・男性)改善するために何をするのかを明確に提示してこなかったから。(20代・男性)その時点で待遇を変えるような話が出るのであれば、それは今までの待遇が適切でなかったという判断になるし、その先でも同じようなことが起こると思われるので、その会社に対して信用をなくすから。(30代・男性)前からあった意志に変わりはなかったため。(30代・女性)<「留まったことがある」と回答した人のコメント>給与のアップを約束されたから(50代・男性)希望年収、ポジションの提示(40代・男性)まだやり残したことが会社内でのポジションチェンジで実現可能だったから(30代・男性)直属の上司に待遇面の不満を率直に伝えた際に、改善に向けて上層部と交渉することを約束してくれたから。(20代・男性)■ 株式会社ギークニア代表 齋藤からの一言エンジニア採用がますます難しくなっていく中、現在会社に所属しているエンジニアの退職をいかに防ぐかは、経営者や人事にとって、採用以上に重要なテーマではないでしょうか。今回の調査では、驚くべきことにエンジニアが退職する場合、半数以上が事前に何のシグナルも出さず、約7割が周囲に相談をせずに「サイレント退職」を行っています。さらに、退職が判明してから慰留をしても、職場に留まる方はたったの2割。表面化してから対応するのではなく、起きる前に退職を防ぐ手立てを考えるべきといえます。その為に大事なのは、普段の働きかけはもちろんのこと、①給与②ワークライフバランス③評価 の観点で、納得感を持ってもらうことが大事です。インフレが進む環境の中、特に①についてはコミュニケーションやモチベーションでどうにかなるものではなく、避けて通れない道。インフレ時代を生き残るためにも、経営者や人事はここに向き合いましょう。※「ITエンジニアの退職に関するアンケート」調査概要調査期間:2023年8月7日~2023年8月15日調査機関:自社調査調査対象:ITエンジニア有効回答数:94調査方法:インターネット調査、自社転職相談者へ調査